◆iPadによるミキサーリモート◆
−機械と人間の役割分担−

前号で紹介させていただいたライブハウス「Music Square 1624 TENJIN」のミキサー、Roland M-480がiPadコントロールに対応したのがきっかけに、ついにiPadを導入した。また導入直後の現場ではYAMAHA LS-9を純正アプリの「Stage Mix」でコントロールする機会にも恵まれたので、使用感などを綴ってみたい。
これらの現場に共通したのは、仕事量に対してスタッフの数が少ないと言うこと。オペ席を離れていてもミキサーをコントロールできるこれらのアプリは非常に便利である。
限られた転換やリハーサルの時間でも、ステージに居ながらにしてより繊細な調整が可能になった。
しかし簡易コントロールとの割り切った設計もあるのだろうが、本体で無いと触れないパラメーターも多く、結局はオペ席に走るケースも何度かあり、そこにはさらなるバージョンアップを望むとともに、リモートアプリならではの使用方法を習得する必要を感じる。
ただ、今までのモニターチューニングと言えばアシスタントが卓について操作をしていたが、ステージ上で音を聞きながら自分で調整できるので、その時間に他の作業をしてもらうことができるのは、現場的にはありがたい。
その一方で、モニターチューニングで卓やEQを触るのは、若手にとって操作に慣れるとともに先輩の技を盗むチャンスだったはず。その機会が減ると思うと残念ではある。
だが、リモートアプリでは、本体で操作するスピードにはまだまだかなわない印象があるので、チーフに急かされながら若手アシスタントが卓を操作する光景は、減りこそしても無くなりはしないだろう。
弊社のアシスタントが「私たちの仕事が減りますね」と言っていた。だが、リズムボックスが登場したときにドラマーは仕事が無くなると騒がれたらしいが素晴らしいドラマーは今でも健在なように、iPadにはiPadの、アシスタントにはアシスタントの役割があるはずだ。


(大阪府 森正人)